贝壳电子书 > 恐怖悬疑电子书 > 幽霊西へ行く(日语原文) >

第14章

幽霊西へ行く(日语原文)-第14章

小说: 幽霊西へ行く(日语原文) 字数: 每页4000字

按键盘上方向键 ← 或 → 可快速上下翻页,按键盘上的 Enter 键可回到本书目录页,按键盘上方向键 ↑ 可回到本页顶部!
————未阅读完?加入书签已便下次继续阅读!



 白川武彦は笑っていた。広い、角ばった額《ひたい》も、男性的な太い水平な眉《まゆ》も、固く結んだ唇《くちびる》も、高島警部にはなつかしかった。
 一中、一高、枺螭取⑼饨还佶畅‘スの本道を歩んで外交官試験に合格、若くして霞ケ関《かすみがせき》の偉材《いざい》といわれた白川武彦は、いまでも四十をいくつも越《こ》えてはいなかった。ロンドン大使館を振《ふ》り出しに、英米仏の三大使館勤務を次々に経歴し、中国に帰って、廈門《アモイ》の領事をつとめ、三十三|歳《さい》という若さで、風雲急を告げた上海《シヤンハイ》総領事の地位に就《つ》いたときには、誰《だれ》しも思わず眼《め》を見はって、この麒麟児《きりんじ》の前途《ぜんと》に注目したのである。
 昭和十三年から二年間、緊迫感《きんぱくかん》を加えた国際都市上海で、彼は外に英米仏ソ独伊の大国を相手に廻《まわ》し、内には軍部の強圧に屈《くつ》することなく、堂々たる外交|手腕《しゆわん》を発摚Г筏俊I虾9げ烤珠Lロバ龋骏廿螗扩‘ソンは、彼を「個人的日本|駐華《ちゆうか》大使」とよんだくらいに、彼の手腕と力量に絶祝钉激膜丹蟆筏蛳А钉筏筏蓼胜盲郡韦扦ⅳ搿
 これが、中国の内治外交の指導権を、一手に掌握《しようあく》しようとしていた、当時の軍部の逆鳎А钉菠辘蟆筏舜ァ钉铡筏欷胜い悉氦悉胜盲俊
 有形無形の圧力は、彼を上海からマルセ妞尉t領事に追った。赫々《かつかく》たる業績を残しながら、最愛の妻に死に別れた彼は、ひとり淋《さび》しく南仏の地に去った。
 大戦は勃発《ぼつぱつ》し、交換船|氷川丸《ひかわまる》で帰国し、日本の土を踏《ふ》んだ。それを最後に、彼の名は新聞紙上にあらわれることもなかった。
「長官は、いまどうしていらっしゃるんですか」
「長官はないだろう。白川さんで結構だよ」
「どうもむかしの癖《くせ》が出まして」
「弁護士をしている。友人からぜひとたのまれて、三幸商事の顧問《こもん》弁護士になっている。別に何にもしなくても、暮《く》らしには困らぬようにしてもらっているが、向こうでは、結構先物を買っているつもりだろうね」
「惜《お》しいですなあ。長……いや、あなたのようなお方を、むだに撸Г肖护皮胜螭啤⒄猡嗓Δ筏皮い蓼工胜ⅰ
「満員電車みたいなものさ。割りこもうという気がなければ、いつになったって仱欷浃筏胜い琛¥趣长恧蔷稀ⅳ长尾课荨钉丐洹筏蛑盲皮い毪省=l《このえ》?汪兆銘《おうちようめい》会見の部屋だ……命をかけて日本へわたった彼は、この部屋で初めて、近衛さんと会見したんだ。あのころには、ずいぶんいろんなことがあったねえ」
 彼はむかしをなつかしむように、内海の彼方《かなた》に浮《う》かぶ、熱海の街の灯《ひ》を見つめた。
「帰りなん、いざ、田園まさに蕪《あ》れんとす……僕《ぼく》のような心境になれなかっただけ、あのお二人は気の毒だった……思えば時代も悪かったね」
「やむを得ないことだったですね」
「そういう僕だって、あの立場に立たされたら、どうなっていたか知れないが……実は、天野さんの奥《おく》さんがなくなられたと聞いて、お悔《くや》みに行ったら、君の名前が出てね、なつかしくなったから、一度あいたいと思ったんだ。よかったら、飯でもいっしょに食おうじゃないか。ここの天ぷらは有名だよ」
「はあ光栄です」
「また、そんなことをいう」
 彼は笑って、ベルをおした。
「飲むだろう」
「いや、今日はいただきません。事件のことが心配で、お酒ものどには通りません」
「君らしくもない。どうせ、解決は時間の問睿坤恧Α5靡猡握场钉亭小筏辘恰⒁粴i一歩、虱《しらみ》つぶしにあたって行くさ」
「ところが、この事件というのはかわっているんです。六人の中に犯人が限定されていて、しかも全然手がかりがつかめないんです」
「六人の中に――?」
 白川武彦は、初めて事件に興味を感じて来たらしかった。
「白川さん、お願いです。お智慧《ちえ》を貸していただけませんか。この事件が解けなかったら、私は濂逼帧钉摔筏Δ椤筏椁趣婴长啶瑜辘郅ⅳ辘蓼护蟆⑸茤|京には帰れません」
「思いつめるなよ。命を粗末《そまつ》にするんじゃない。いったいどんな事件だね」
 高島警部は、逐一《ちくいち》もらさず、白川武彦の前に事件の内容を物語った。
 その間、相手は腕《うで》を組んだまま、膝《ひざ》ひとつ崩《くず》そうとはしなかった。
「まあ飯でも食いながら話そう」
 警部の話が終わったときに、白川武彦はいい出した。
「この天ぷらの油はね、浜名湖畔《はまなこはん》の伊佐見《いさみ》村からとりよせているんだそうだ、炭は天城《あまぎ》の山中で、わざわざ焼かせているという……ずいぶん凝《こ》ったまねをするね」
 警部にとっては、油の話はどうでもよかった。彼は機械的に、海老《えび》を口へほうりこんだ。
「外交は詭弁《きべん》なり――マキャヴェリは、するどいところをついているね。僕《ぼく》には、その詭弁を弄《ろう》することが、どうしても出来なかった。生まれつきで、どうにも仕方のないことだが、それが僕《ぼく》の外交界から退いた動機でもあった。ただ、僕は自衛のために、その詭弁《きべん》を見やぶる力だけは養って来た。犯罪もまた詭弁なり――と僕はいいたいね。今度の事件は、二に一を加えて二になるという詭弁だよ」
 警部の口の中で、海老《えび》がとび上がった。彼は兎《うさぎ》が亀《かめ》に追いつけないという、有名なギリシャ哲学者の説を思い出したのである。
「な、何です。その高等数学は。そりゃ、支那鞄《しなかばん》のことですか」
「それもそうだが、僕は第一に、人間のことをいっているんだよ。二人に一人を加えて、二人になったとしたら、その一人はいったい何者だろう」
「幽霊《ゆうれい》ですか」
「幽霊かも知れないね」
 白川武彦は、微笑《びしよう》しながら言葉を続けた。
「むかし『幽霊西へ行く』という映画があった。イギリスの古城に住んでいる幽霊が、城といっしょにアメリカへ渡《わた》るという話だが、その中で、僕の吹《ふ》き出したのは、その城を買いとって、アメリカへ移築しようとしたブルジョアだ。彼は歓呼の声にこたえて、自動車で市中行進をする。彼の隣《となり》には誰《だれ》もいない。ただ幽霊《ゆうれい》の指定席という札《ふだ》がはってあった」
 白川武彦は、微笑《びしよう》しながら、言葉をつづけた。
「幽霊は君といっしょに西へ来たんだよ」
 警部は、とたんに大きく咳《せき》こんだ。
「じょ、冗談《じようだん》をおっしゃっちゃいけません」
「冗談じゃないよ。君は、いっしょに平塚から、君の自動車にのりこんだ人間を誰だと思ってるんだ」
「平塚警察の大宮とかいう刑事《けいじ》でした」
「平塚警察へ、電話をかけて聞いて見たまえ。そんな刑事がいるかどうか、いたとしたら、君といっしょに湯河原まで来たかどうかをたしかめたまえ」
 警部は箸《はし》を投げ出して、そのまま階段をかけ上がった。三十分ほどして彼は帰って来た。その顔には、全然何の血の気もない。
「おりません……たしかに、そんな人物はおりません」
「そうだろうとも。それが第一の幽霊だよ。おそらくは、第二の支那鞄《しなかばん》に入っていた死体の主――平塚の殺人事件の犯人だね」
 高島警部は、ベタリと畳《たたみ》に腰《こし》をおろした。
「そんな馬鹿《ばか》な……いくら何でも……」
「ちっとも馬鹿な話じゃない。いいかね。平塚の警官は、君にお二人ですね、と聞いた。彼はもちろん、哕炇证蛴嬎阃猡摔い欷皮い俊>献苑证坞O《となり》に坐《すわ》っていた男を、平塚警察の刑事《けいじ》だと思っていたから、それを度外視して、自分と哕炇证坤堡蚴à俊6抓楗挂互ぅ畅‘ル二。ここに一人の人物が、完全に注意の外に逃《のが》れ去った。この殺人鬼は、こうして重囲の中から脱《だつ》することが出来たんだ」
「すると……私は、殺人犯人と、知らずに同じ自動車に仱盲皮い郡铯堡扦工汀
「その通り。警視庁の捜査《そうさ》主任といっしょでは、警官だって疑いはしないよ」
 警部は深く首をたれた。
「恐《おそ》れいりました……むかしながらのご明察、いやはや感服にたえません……しかし、あの殺人犯人が、あの時自動車に仱辘长螭坤铯堡悉铯辘蓼工ⅳ饯欷嗓Δ筏啤⒖F《えん》もゆかりもないあの家に……」
「縁もゆかりもないことはない。この男は、上杉弥生の殺害犯人と、利害を共通していたんだ」
「共犯ですか」
「共犯じゃない。この殺人は、両方別々に起こっている。しかしふしぎな呙昔椁恰ⅳ郡い私Yびついていた。その糸をたどって、この男は青山|荘《そう》にあらわれた……そして、上杉弥生殺害犯人に殺されてしまった。……二時に、青山荘の裏門から入って行ったという人影《ひとかげ》は、弥生さんの部屋《へや》で、ハムサンドをかじったという幽霊《ゆうれい》は、おそらく、この男だったろう」
「白川さん、それじゃあ、あなたは上杉弥生殺人犯人の名前がお分かりなんですか」
「分かるとも。天の配剤というんだろうね。この男を殺さねばならなくなったのは、犯人の致命《ちめい》的な失敗だったよ」
「それじゃあ、犯人の名を教えて下さい」
「教えてあげることは、造作《ぞうさ》もないが……」
 白川武彦の顔には、憂《うれ》いの影《かげ》が浮《う》かんだ。
「知らぬ存ぜぬ――で頑張《がんば》り通されたら、この事件は大分長びくよ。新映映画の撮影所《さつえいじよ》に、鞄《かばん》を撙螭抢搐磕肖握{査、被害者《ひがいしや》の足どりの捜査《そうさ》、ちょっとやそっとじゃかたづかないよ。それよりも、今晩中に、のっぴきならぬ現行犯でおさえた方がよくはないか」
「現行犯……とおっしゃると殺人の――?」
「その通り」
「今度は、誰《だれ》が殺されるんです」
「君だよ」
 高島警部は思わず箸《はし》を膝《ひざ》におとした。
「あの殺人鬼は、今度

返回目录 上一页 下一页 回到顶部 2 3

你可能喜欢的