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第33章

白夜行:日文版-第33章

小说: 白夜行:日文版 字数: 每页4000字

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「風邪薬? それがどうかしたんですか」
「ふつうの量ではなかったんや。空き袋から考えると、一回にふつうの五倍以上飲んだ形跡があったらしい。たしかあの時は解剖もされて、そのことが裏づけられたとかいう話やった」
「五倍以上……というのはおかしいですね」
「眠るために飲んだんやないかと警察では疑うたわけやな。ガスを出して、睡眠薬を飲むという自殺方法があるやろ? 睡眠薬はなかなか手に入らへんから、風邪薬で代用したんと摺Δ瓤激à郡铯堡洹
「睡眠薬代わり……か」
「かなり酒を飲んだ形跡もあったらしいで。カップ酒を空けたやつが、ゴミ箱に三つほど入ってたそうや。あの奥さん、ふだんは殆ど酒を飲まへんかったという話やから、これもまた眠るためと考えられるやろ?」
「そうですね」
「ああ、そうや。それから窓のことがある」記憶が蘇ってきたせいか、田川は雄弁になってきた。
「窓?」
「部屋の鍵が全部かかってたのはおかしい、という意見があったようや。あの部屋の台所には換気扇がついてなかったから、炊事をする時には窓を開けるのがふつうやないかというわけや」
 田川の話に正晴は頷いた。そういわれれば、なるほどそうだ。
「でも」と彼はいった。「うっかりしていた、ということもありえますよね」
「まあな」田川は頷いた。「せやから、自殺説を強力に押すほどの根拠とはいわれへん。風邪薬やカップ酒にしてもそうや。ほかに説明がつかんわけやない。それに何より、あの子の証言があったしな」
「あの子というのは……」
「雪罚Г沥悚螭洹
「どういう証言ですか」
「別にさほど特別なことはいうてへん。おかあさんは風邪をひいてたて証言しただけや。寒気がする時には日本酒を飲むこともあったともいうてた」
「あ、そういうことですか」
「刑事なんかは、それにしてもあの薬の量はおかしいというてたけれど、どういうつもりで飲んだのかは、死んだ本人に尋ねてみんことにはわからんしな。それに自殺するのに、わざわざ鍋の味噌汁をふきこぼすなんちゅうことはせんやろ。まあ、そういうようなわけで、結局事故ということで片づいたわけや」
「警察は、その鍋のふきこぼしにも疑問を持ってたんですかね」
「さあな、どうなんかなあ。まあ、そんなことはどっちでもええことや」田川は短くなったマイルドセブンを、灰皿の中でもみ消した。「警察の話では、発見があと三十分早かったら助かったかもしれんということやった。自殺にしろ事故にしろ、あの人は死ぬ呙摔ⅳ盲郡趣いΔ长趣冗‘うか」
 彼が話し終えるのとほぼ同時に、正晴たちの後ろから客が入ってきた。中年の男女だった。いらっしゃい、と田川は新たな客を見て声をかけた。営業用の愛想笑いになっていた。もうこれ以上は自分たちに付き合ってくれることはないだろうと思い、正晴は内藤に目配せして店を出た。

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 やや栗色《くりいろ》を帯びた長い髪が、雪罚Г魏犷啢螂Lした。彼女はそれを左の中指で耳にかけ直したが、何本かは残った。こんなふうに髪をかきあげるしぐさが、正晴は大好きだった。白く滑らかな睿Г蛞姢皮い毪取⑺激铯亥工筏郡胜胄n動に駆られる。初めて彼女の家庭教師をした時からそうだった。
 空間上の二つの面が交わった時に出来る直線の式を求める、という問睿搜┓'は取り組んでいた。解き方は教えてあるし、彼女も理解している。彼女が持っているシャ抓讠螗伐毪稀⒋蓜婴蛑工幛毪长趣悉胜盲俊
 制限時間をたっぷり残して、「できました」といって彼女は顔を上げた。正晴はノ趣藭欷渴饯蚰钊毪辘艘姢俊J证溆浐扭我护囊护膜帳藭欷皮い俊4黏à韦郅Δ忾g摺い胜盲俊
「正解だよ。完璧だ。文句のつけようがない」雪罚Г晤啢蛞姢胜楸摔悉い盲俊
「ほんとう? うれしい」彼女は胸の前で小さく手を叩いた。
「空間座標については、ほぼ理解したようだね。この問睿隼搐欷小⑨幛先郡长螐暧盲瓤激à皮猡いぁ
「じゃあ、ちょっと休憩しません? 新しい紅茶を買ってきたの」
「いいよ。少し疲れただろうからね」
 雪罚Г衔⑿Δ摺⒁巫婴榱ⅳ辽悉毪取⒉课荬虺訾皮い盲俊
 正晴は彼女の机の横に座ったまま、部屋の中を見回した。彼女がお茶を淹《い》れに行った時は、こんなふうに一人で取り残されるわけだが、この時間が、彼としては極めて落ち着かなかった。
 本音をいうと、部屋のあちこちを探索してみたい気持ちがある。小さな引き出しを開けたいし、本棚に挟んであるノ趣蜷_いてもみたい。いや、雪罚Г工盲皮い牖捚筏毋懕蛑毪坤堡扦狻ⅳ胜辘螠鹤愣趣盲椁欷毪悉氦胜韦馈¥筏穭婴丐盲郡辍⒉课荬韦猡韦舜イ欷郡长趣⑼蛞槐伺摔肖欷繒rのことを考えると、じっとしているしかなかった。彼女に軽蔑されたくはなかった。
 こんなことならあの雑誌を持ってくればよかったなと彼は思った。今朝、駅の売店で男性向けファッション雑誌を買ったのだ。だが雑誌を入れたスポ磨啸氓挨稀⒁浑Aの玄関を上がったところに置いてある。汚れているうえに、アイスホッケ郡摔い宽暿工盲皮い烤薮螭圣啸氓挨胜韦恰⒀┓'を教えている間は下に置いておくことが習慣になっている。
 仕方なく彼は、ただ室内を眺めることになった。本棚の前に、ピンク色をした小型のラジカセが置いてある。そばにはカセットテ驻痉eまれていた。
 正晴は腰を浮かせ、カセットのレ佶毪颏郡筏幛俊;木蓪g、オフコ工趣いξ淖证姢à俊
 彼は椅子に座り直した。カセットテ驻椤⑷瘎eの連想を始めていた。例の『サブマリン』のことだ。
 美濃部を中心に、今日も情報交換を行ったが、どこからプログラムが流出したのかは全くわからなかった。また美濃部は、テ驻蜇湁婴筏皮い搿簾o限企画』という会社に電話したらしいが、何も収穫はなかったという。
「どうやってプログラムを入手したのかって訊いてみたんやけど、そういうことには答えられへんの一点ばりや。電話に出たのは女やったから、技術の人間に代わってくれというたんやけど、けんもほろろというやつや。たぶん確信犯やな。カタログに載ってたほかの商品も、どこかでパクってきたプログラムと摺Δ
「直接会社に行ってみたらどうでしょう」正晴は提案してみた。
「意味はないな。たぶん」即座に美濃部は却下した。「プログラムが盗まれたと騒いだところで、相手にしてもらわれへんやろ」
「『サブマリン』を持っていって、見せたら?」
 それでも美濃部は首を振った。
「『サブマリン』のほうがオリジナルやという証拠がどこにある? 『マリン?クラッシュ』を真似て作ったんやろといわれたらそれまでや」
 彼の話を聞いているうちに、正晴は頭をかきむしりたくなってきた。
「そんなことをいったら、いくらでもプログラムを盗んで商売ができるじゃないですか」
「そういうことや」美濃部は冷めた顔でいった。「いずれはこの分野でも著作権というものが必要になるやろな。じつをいうと、法律に詳しい友達に、今度のことを話してみたんや。で、俺らのプログラムが盗まれたことを証明できたとして、どの程度まで賠償請求できるかと訊いてみたところ、そいつの答えはノⅳ膜蓼辘饯欷想yしいという答えやった。何しろ判例がないからな」
「そんな……」
「だからこそ、俺は犯人を見つけだしたい。見つけたら、ただではすまさへん」美濃部は凄みのある声でいった。
 犯人を見つけたとしても、一、二発殴るぐらいしかできないのかと、正晴は空しい思いがした。そして、プログラムを盗まれるようなドジなことをしたのは誰だろうと、仲間たちの顔を思い浮かべた。そいつにも恨み言をいいたいところだった。
 プログラムというのは財産なんだな――正晴は改めてそう思った。これまではあまりそんなふうに意識したことはなかった。自分にとって大切なものだから取り扱いに気をつけてはきたが、他人から盗まれることを想定したことは殆どない。
 美濃部は、これまでに『サブマリン』を見せた相手、『サブマリン』について話した相手を列挙しようと提案した。「『サブマリン』のプログラムを盗もうと思いつくからには、『サブマリン』について知っていたということやからな」というわけである。
 全員が、思いつくかぎり名前を挙げていった。その数は数十人に上った。研究室の人間、サ毪浈楗证沃匍g、高校時代の友人、いろいろだ。
「この中に、『無限企画』と何らかの形で繋《つな》がってる人間がおるはずなんや」美濃部はそういって名前の並んだレポ扔眉垽蛞姢膜帷ⅳ郡嵯ⅳ颏膜い俊
 彼がため息をつく理由が正晴にもよくわかった。繋がっていたとしても、それは直接とはかぎらない。この数十人から、さらに枝分かれしていることも考えられた。その場合には、現実的に追跡眨麞摔喜豢赡埭坤盲俊
「各自、自分が『サブマリン』のことを話した相手に当たってみることにしようや。どこかで絶対に手がかりが見つかるはずや」
 美濃部の指示に仲間たちは頷いた。だが頷きながら正晴は、そんなことで果たして見つけられるだろうかという気もしていた。
 彼自身は、『サブマリン』のことを他人に話したことは殆どない。彼にとってはゲ嘧鳏辘庋芯郡我画hであり、そういう専門の話など、門外漢にはつまらないだろうと思うからだ。ゲ嘧蕴澶蚊姘驻丹狻ⅴぅ螗侃‘ダ博‘ムには足元にも及ばない。
 ただ、一度だけそういうゲ嘧鳏辘卧挙颉⑷尾客庹撙嗽挙筏郡长趣悉ⅳ搿¥饯蜗嗍证稀ⅳ郅胜椁萄┓'だった。
「先生は大学でどんな研究をしているの?」
 このように訊かれ、まずは卒業研究のことを話した。だが画像解析やグラフ理論の話が高校二年生の娘にとって面白いはずがない。雪罚Г下豆扦摔膜蓼椁胜丹饯Δ暑啢悉筏胜盲郡⒚鳏椁送局肖峭饲肥激幛俊¥饯长潜伺螝荬颏窑长Δ去博‘ムの話をした。途端に彼女は目を輝かせた。
「わあ、面白そう。どんなゲ啶蜃鳏盲皮毪危俊
 正晴は紙に『サブマリン』の画面の剑蛎瑜

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